みなさま、こんにちは。よしぼうです。 北海道で自然散策旅を楽しむ元自衛官のアウトドアガイド。”自分らしい人生を”をモットーに活動中。自然散策旅(自然に身を寄せ、散策してみよう、旅するように、の略)
今回の記事は、YouTubeチャンネル”よしぼうch”で投稿した動画【秋登山】装備一覧解説
で紹介した道具たちを、もうちょっと深堀りした解説と雑談を交えたものになります。
秋の摩周岳(北海道の東、阿寒摩周国立公園にある標高857mの山:アイヌ語でカムイヌプリ=神の山)に登った時の装備になります。登山の様子はこちらからどうぞ。
動画を見て、もうちょっと詳しく知りたい!という方や、この装備気になる!という方、これから秋山・冬山行ってみたい方向け。
それでは記事の本編へ行ってみよう!
目次
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秋の山の楽しさ
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私が山に行く理由
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秋登山の装備解説・雑談
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最後に(後編につづく)
秋の山の楽しさ
秋の山の良さといえば…みなさまは何を思い浮かべますか?
夏と比べて気温が涼しくなり、空気も清々しく気持ちよさがあります。
山の様子も変化し、夏は緑の多かった山肌ですが、秋になるとヤマモミジやナナカマドの赤、イタヤカエデやダケカンバの黄など、色鮮やかな紅葉が山を彩り、私たちの心を癒しいっぱいにしてくれます。
森の香りも、キノコやヤマブドウ、コクワの実といった香りから、樹木のカツラの焼き菓子のような香りなど”秋らしい”森の香りが広がり、散策が楽しい!
そんな季節を感じることができる楽しみ方が秋の良さであり、秋の山の良さだと思います。
私が山に行く理由
私が山に行く理由。
あえて”登山”ではなく”山”と表現しています。
私は山の登頂が目的の登山はしません(しないように気を付けています)。
もともと体を動かすことが好きなタイプ(運動音痴ですが)で、登山は、いかに早く登れるか、登頂がゴール!みたいな思想をしていました。
でも、それって何か違くない?と思い始めたのは25歳(自衛隊を辞めた頃)くらいの時。
自然の世界の奥深さ・神秘さ・楽しさに気づいた頃から、山に行くのは
その土地の、その山の地質、植生、歴史をわが身を通して体感し、自然と共鳴し、感じとれる、そんな場所の山に、手段として登山をしている…。
という感じです。
私の動画やブログでは登山より自然散策旅と表現するようにしていて、
山を登ることを目的にする
のではなく
自然に寄り添って、散策する・歩くようにゆっくりと時間をかけることで感じ取れる世界観・自然美があり、それを旅するように、ワクワク・ドキドキしながら色々な場所へ行く。
という思想・行動するようになりました。
自然散策旅は私が勝手に言っている造語ですので、わかりやすく登山と書かなきゃいけない…(苦笑)
でもこの思想になってからは、本当に楽しい時間が増えました。秋の摩周岳も充実してました!
さて、本題の装備の話に行きましょうか。
秋の登山装備解説・雑談
秋の登山では、注意しなければいけないポイントがいくつかあります。
今回は大きく2点紹介します。
オーバーヒートと低体温症です。
この二つのことを考慮した荷物になっています。
※
オーバーヒート…激しい活動に伴う大量の発汗で、ウェア内に熱が溜まり、逃げ場のない熱と止まらない発汗によって体の熱が上昇しすぎてしまう状態。
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低体温症…寒い環境下で肌の露出をしていたり、大量の汗をかいた状態で放置し、濡れたウェアのままでいると、冷えた汗と外気によって体を冷やされ、体の機能が正常に活動しなくなる現象。
秋や冬にこれらが生じてしまうと大変厄介で、最悪命を落としかねない重大な問題になるため、対策・予防が必要不可欠。
防寒着やウェアのレイヤリングについても紹介します。
装備一覧
【アークテリクスアルファFL40】 (ザック)こちらの詳細は別記事にて
究極のシンプルザックです。
中身は…
こんな感じです。
一つずつ見てみましょう。
【ミレーティフォン50000STジャケット・パンツ】
今回は雨具として携行。詳しい性能については以前の記事にて。
ティフォン50000は、登山に十分な耐水性を持ちながら透湿性が高く、活動時の汗による蒸れを軽減してくれる優れもの。
透湿性能が高いというのは、アクティブな活動をする場合大切な要素になります。
蒸れは、ウェアを脱ぐ・ジッパーを開けるなどの喚起をすることで解決できます。
しかし、秋や冬の寒い季節にその喚起方法をすると、蒸れが逃げると同時に熱も一気に逃げてしまい、汗冷えを起こします。特に冬の北海道は気温が−30℃近くになりますからね…(冷汗)
そのため、秋冬は”蒸れ”ない環境づくりと”汗”をかかないウェアのレイアリングが重要です。
ティフォン50000は、かいた汗の蒸れを独自の技術により、ウェアの外へ逃がし、ドライな環境を保ってくれるウェアです。夏場はこのウェアを着て活動しています。
【戦人防寒着】
戦人(せんじん)は自衛官の売店やミリタリーショップで販売しているメーカーで、そのフリース。
これは休憩の際に防寒着として使用。行動中に着ていると暑くなりすぎるので、蒸れ・汗冷え問題になります。使用頻度はそれほど高くはないので、ザックの奥に入れます。
冬は薄手にこのフリースで歩くこともたまにあります。気温によっては丁度いいくらいの日もありますが、アクティブな活動の時は汗でフリースが濡れて、外気で段々凍っていくなんてことも。
【フェニックスニット帽】
防寒用として補備。これも上記のフリース同様に行動中というよりは、休憩中や待機中の防寒として準備してます。意外と頭は放熱量が高い部位ですので、冷えないように保温しましょう。また、帽子の中には軍手を入れていて、いざという時に手を寒さから守ります。
【衣類に貼るカイロ】
秋の行動中に使うことは殆ど無いですが、もしもの時の保温として常備してます。冬では歩き初めに貼ったりする場合も。手が冷えてしまった時用として活躍するお助け道具です。
【モンベルアルパインサーモボトル0.35】
このボトル(北海道バージョン)には、お湯を入れて携行しています。このボトルの詳細についてはこちら
オールシーズン、中にはお湯を入れてます。温かいお湯って良いですよね!
小休憩時の一服、大きな休憩時の昼ごはん(カップ麺)を作る用としてお湯を入れています。
0.35mlという容量は絶妙なサイズ感で、ザックにパッキングする時に場所を取らないコンパクト性と、240gという軽量性は魅力的ですね!
ゴムキャップを外しているので滑りが良く、パッキングの時に引っ掛かりがなくて良い。
【ミレーヴァリエ】
W12 H21 D5のサイズのポーチ。
中にはコーヒーセットが入っています(動画参照)。
しかし、コーヒーセットを入れると結構ギュウギュウになってしまい、チャックが閉まりきらない…(苦笑)。要検討。
【MFA(メディカル・ファースト・エイド)】
救急品セットですね。
中身は…
・感染防止手袋・三角巾(大・小)・ガーゼ・伸縮包帯・テーピングテープ・ハサミ・湿布・腹痛止め・サムスプリント・防災シート・人口呼吸器など…。
捻挫・出血・骨折などに対応できる中身です。自分が怪我した時、自分以外の人が怪我をした時、両方を考慮しています。
”一人で登山”であれば、ここまで物はいらないかな?という感じはします。赤い入れ物もそれなりに大きいので、場所をとって存在感があります。ティッシュ箱くらい大きい…(笑)
なので、もう少しコンパクトにしようか検討中です。
どちらにせよ、使わないことに越したことはありません。
怪我をしないため、怪我の予防として…
予防は前日から
睡眠不足は、疲労の蓄積増加・判断力低下・集中力の散漫など、安全性を低くする要因になるので、夜更かしはやめましょう!←結構重要
その日の体調の確認
朝起きた時の健康度・元気度の確認。「う~んなんだか体の調子が…(汗)」という日は登山を中止します。
行動は慎重に
楽しくなってテンションが高くなっても、慎重に行動する。調子に乗って転倒したり、道を間違えたりしないように注意。
歩き始める前に準備運動をする
まだ体が温まっていない時に急に動き始めると、筋肉や筋を怪我しやすい。なので準備運動は大事です。
【ヘリコンテックスPoncho u.s model】
ポンチョは急な雨降りにサッと羽織って雨をしのぐことができます。また休憩時にはグランドシートとしてお尻の下に敷いたり、タープとして日よけをしたり、緊急時は簡易シェルターとして使うことができる多様性のある一品です。
【ブラックダイヤモンドストーム500-Rアズール】
防水防塵のタフボディであり、高光度ライトを搭載した充電式モデル。
500ルーメンで安心。低光度で350時間、高光度で7時間、照射可能。
IP67(粉塵が中に入らない、深さ1mの真水に30分没しても影響を受けない)
重量は101g。
ヘッドライトは重要な道具の一つ。
日帰り登山でも必需品。特に秋冬の季節は日が暮れるのが早く、15時には暗くなってきます。予定よりも時間が押して下山に遅れが生じる…そんな経験ありませんか?
明るいうちは「まだ太陽あるからいけるっしょ!」と心に余裕があるのですが、暗くなってくると段々不安になってきて、「やばい暗くなってきた、どうしよう…」と心に余裕がなくなります。余裕がなくなると冷静な判断ができなくなり、道に迷う、怪我をする、間違った行動をしてしまうと負のスパイラルに飲み込まれていきます。
夜の山・森はビックリするくらい真っ暗な闇に包まれます。自分の手の輪郭もわからないくらいに…(汗)
暗闇は人を不安にさせる魔物。そんな魔物から守ってくれる一筋の光。
それがヘッドライトなのです!
明るい光があれば暗い山道も安心して歩けます。
心と体の安全を守る道具です。充電の忘れ、残量に気を付けましょう。いざという時に使えなければ、ただの重りです。
【ESSアイセーフフィー】
野外活動をする際、太陽の光、紫外線は我々の体に様々な影響を与えます。目に与える影響も多く、予防をしないと目に炎症が生じて、腫れあがったり、目が開かないということに。
特に冬は、太陽光が雪に反射し(照り返し)雪目になってしまいます。
またアイセーフティをすることで、枝や小石などから目を守ることができます。
サングラスやアイセーフティは、落として壊さないように脱落防止のヒモを付けることをお勧めします。
ちなみにESSアイセーフティは、実弾を防ぐ強度がある(コ〇ン君もビックリ!詳しくは映画を参照)
【携帯トイレ】
山へ行くときは携行しましょう。
山でトイレに行きたくなった時、どこにでも用を足していいわけではありません。
”山はトイレではありません”
基本は設置している仮設トイレか携帯トイレで用を済ませましょう。
どうしても山で用を足したくなった場合は、川や水源から30m離れた場所で、穴を掘って埋めるようにしましょう。
【サロモン アクティブハンドヘルド】
トレイルランニングやロードランニングをしている人ならご存じかと思います。手に水を持ちながら歩けるミニマルなデザイン。ソフトなストラップで調節可能で、飲むと圧縮されるので、水が跳ねたり、揺れたりすることが無く快適に活動できます。
42㎜の幅広キャップのおかげで補充しやすい。
重量は56g。
容量は500ml。
今回の登山では、手ではなく、チェストストラップに通して装着していました。
ここにつけることで、水分補給が素早く効率的に可能に。立ち止まらずに補給できると、活動も速くなるので、総じて”安全な登山”になるというメリットがあります。
”
噛んで吸う”という飲み方なので慣れていないと、むせるかもしれません。
【ヘリコンテックスSEREポーチ】
このポーチは腰に装着していました。中身は小型ライト、マルチツール、浄水器、メジャー、メモ帳、絆創膏、ガーゼなどが入っています。こちらは使用頻度はそこまでありません。
ザックを下ろして行動しているときに、あると便利なモノが入っています。
ヘッドライトの充電が無くなったときのサブライトとしてThruNiteスルーナイト、小型ながらも693ルーメンと明るく、帽子やポケットにつけたり、グリップテールに磁気があり、鉄のものに付けることが可能。
マルチツールはビクトリノックスハントマンで、ノコギリ、ナイフ、缶切り、ハサミなどクラフト・料理・裁縫と多種多様に活躍してくれる。
浄水器のSAWYERは、川の水や水溜まり、沢の衛生的に直接飲むのを躊躇するような水を99.9999999%浄水してくれるので安心して水の確保・補給ができる。北海道のキツネの糞尿から生じるエキノコックスもフィルターを通さないとされています。また、よしぼうの実験で辛い汁も浄水して辛さのない水に代わることが実証済。
【ミレーネックウォーマー】
首元を寒さから守ってくれます。耳まで覆えるため、稜線の風がある場所や冬の山などで活躍します。
また砂埃が酷いところでもマスクとして使って軽減することも可能。
【クマスプレー】
北海道にはヒグマが生息しています。ヒグマと戦って勝てる人はいません。本州のツキノワグマとはサイズが全然違います。
出会ってしまったら、自分の命を守るためにクマを撃退しなければいけません。
その手段としてクマスプレーがあります。カプサイシンという辛い成分の入ったスプレーをクマの顔に向け噴射します。発射有効距離10mです。かなり近い距離です。クマは時速60㎞で走ることができますので、噴射するためには、あらかじめ発射レバーに指をセットし、いつでも押せるように準備をする必要があります。
クマスプレーは噴射した瞬間に効果があるというわけではありません(語弊があるかもしれませんが)。目や鼻など粘膜に付着しカプサイシンの刺激が現れるまで少しかかります。時間としては数秒です。3~5秒くらいでしょうか。噴射した瞬間のガスの勢いと匂いに驚いて逃げる可能性はあります。
私自身がクマスプレーを浴びたからこそわかることです。実体験です…(笑)
クマスプレーを自分にかけたことありますか?
何をおかしなことを言っているんだ!?と思われるかもしれませんが…(苦笑)
私、よしぼうは、顔とスプレーの距離30㎝という至近距離で発射(誤射)した経験があります。(涙)※みなさまは絶対マネしないでください。
実際にクマスプレーを浴びた経験から、クマスプレーに絶対の信頼を持たなくなった…という話です。
なので、クマに遭わないためにできることをしっかり実践することが大切です。
遭わないためには…
・山・森に入る時は、「こんにちは!クマさん!山(森)にお邪魔しまーす!」とあいさつをする。クマに我々の存在をお知らせします。
・手をたたく、鈴を鳴らすなどして音を出す。クマに我々の存在を知らせる。ここにいますよ…と。
※
注意、
音を継続して出し続けるのはやめましょう。音を出すのは我々の存在を知らせるためにします。この音に対して「あ!人間だ!あっちには寄らないでおこう」と距離を取ってくれるクマには効果的です。しかし、
距離を取れないクマの場合は違います。例えば親子のクマ。子供のクマがいて、食事をしていた時、人間が音を出して近づいてきた。小熊は好奇心で人間に近づいていく、または恐怖で動けない。そんな時、親はどうするか?子供を守りますよね?親だけ逃げることはしないでしょう。一方で人間はそんなことに気づかず、音を出し続けて近づいてきます。親熊の心境はきっと恐ろしく怖い思いでしょう。命がけで戦う覚悟を決めていることでしょう。そんななか人間が姿を現したら…。お互いにいいことはありません。なので
音を出し続けるのではなく、音を出し、我々の存在を知らせたら”しっかりクマの反応”を聞きましょう。クマがいない場合は特に反応はないので、そのまま進んでも大丈夫でしょう。しかし、クマがいる場合は、
唸り声を発したり、足音を出すなど、何かしらの反応を示します。その場合は、クマが近づいてほしくないサインなので、進まずに来た道を引き返しましょう。
事前にクマ出没の情報を確認することも大切。情報を提供してくれるセンターなどに確認するのが良いでしょう。(人の味を覚えたクマがいる森に、他県から来た方が情報を知らずに入って襲われた…なんて事案もあるようです)
最後に(後編につづく)
以上が装備一覧(着用ウェアを除く)でした。
自分なりに考えた装備になります。もっとこうしたい!あれを使いたい!という道具はありますが、今の所有している装備と予算の都合上仕方のない部分もあります…。
そのため、あくまで参考になる部分があれば、参考にしていただいく…というスタンスです。
ウェアの機能や道具の性能は確かなモノですので、ぜひ使ってみてください!
さて、秋登山装備一覧【前編】でした。
後編でお会いしましょう。
バイバイ!
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